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ティエリアが眠れない子だったらかわいい!と思ってささっと…

モレノさんがよくわからない…
医師彼しかいないから使いたい放題だよ



ティエリアはたまに、どうしたらいいのかわからない感情がたかまって泣き出すことがある。泣いていることを自覚しない時さえあった。俺がはじめてティエリアのそんな姿をみたのは、まだマイスターが俺とティエリアだけだったころだ。

モレノ医師から呼び出しがあり、おそらく身体検査の結果をとりにこいということなのだろ。時間がある時にでも来てくれといわれて、ちょうど時間があった俺はそのまま向かった。
メディカルルームにはいると、最初に目に入ったのはベッドで眠っているティエリアだった。

「わるいね。今寝たところだから部屋を変えよう」

モレノ医師は生まれたての息子がやっと寝たのだよと言っているようだ。正直、こわい印象しかないティエリアにこうして接するモレノ医師に少し偉大さを感じた。

「いたって健康。大丈夫だ。このまましっかり管理していってほしい」
手渡された診断結果は当然健康で、俺はそれを手にしたままさきほど眠っていたティエリアのことを聞くか迷っていた。
ティエリアは健康ではなかったのだろうか。
そんな俺の考えを見透かしたようにモレノはティエリアはな、と口を開いた。
「ティエリアはな、夢が嫌いなのだよ」
困ったものだと、苦笑いするモレノに俺はどういうことだと聞いてみる。
モレノが言うには、ティエリアは悪夢しか知らないとのことだった。
夢とは普段の生活や記憶が元になって見るもので、ティエリアは生まれたときからCBにいるらしい。この計画のことばかりで嫌な思いもたくさんしてきた。楽しみかたを誰も教えなかったから、楽しいというのがどういうものかいまいちわからない子になってしまった。モレノはそう言った。
あの冷たい性格はそのせいなのだろうか。
「夢がとにかく苦手というだけでなく、感情のコントロールも苦手でね。さみしい、苦しい、不安といった感情発散のさせかたも知らないから泣いてしまうんだよ」
さっきまでさんざん泣いて、泣きつかれて寝たところさ。
そのことばは普段小さな子供に使う表現だ。
生活するうえで学ぶことを、ティエリアは知らずに育ってしまったと言うことだろうか。外見は十代半ば、頭は大人顔負けの中身お子さま。たしかにティエリアだ。
「とにかく寝ないのもイライラする原因なのでね。少しずつ発散のさせかたを教えて…計画が始まる頃までにはなんとかするさ」
まるで父親だ。
俺はいまいちモレノの気持ちを理解できず、あんな中途半端だというのに俺が失敗するたびにマイスターの資格がないといってきるティエリアこそ、マイスターの資格がないのではと思いながら自室へもどり、俺も寝た。
夢は家族との生活ばかりだ。


それからしばらくして、俺はティエリアがヴァーチェの中でなら眠れるようにったのを知った。
コックピットのハッチがすこし空いていて、中をのぞく。
中には緑ハロとティエリア。
緑ハロを抱き締めて眠るティエリアはぬいぐるみをかかえて眠る子供そのもの。
そんな姿をみてバカにできなかったのは眠りながら泣いていたからだ。


ティエリアはまだ八つ当たりをしらない。
あの医師は次に八つ当たりでも教えるんだろう。
ティエリアは泣くことの意味を知っているだろうか。

「こういうときは子守唄か?」


そっと手をのばし、頭を撫でながら鼻唄程度の子守唄をティエリアへ。


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