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急なニルティエ小説。
画家ニールと警察官ティエの小説。
某CDパロではないよ
画家ニールと警察官ティエの小説。
某CDパロではないよ
かさかさかさ、という音で合っているだろうか。
木炭と木炭紙がこすれる音が響く。
俺の...いや、僕の目の前には僕をじっと見ては紙に焼き付ける愛しい人がいる。
真剣な目はまるで獲物を狙い撃つスナイパーそのものだ。
怖い。
しかし、その目が愛しい。
今日は休みだった。
珍しく連休で、警察官である僕はこの間になにかあったらと不安になる。
職業病だ。
そんなに毎日走っていたら肝心なときに走れなくなるぞ、というのがこの画家の口癖。
僕にストップをかけるのはいつだってこうしてこもって絵ばかりかくニールの仕事。
ニールのアトリエのにおいが好き。
ニールのにおいだ。
僕はニールのモデルをやりながら動かないように空気を吸い込んだ。
幸せだ。
しかし、暇なわけで。
少し見えるニールの手をみる。
止まることなく動くニールの手はごつごつして絵の具やらなんやらで汚い。
爪は削れてとてもうすく、僕はセックスのあとにそこをいじるのが大好きだ。
前になぜこうなのか、なんてつい聞いたことがあった。
爪で支えて書くことがあるそうだ。
細かい書き込みをしたいとき、手で書いたところを消さないように浮かせるために爪に力を入れててを支える。
すると中指の爪がけずれて薄くなっていくそうだ。
「こんな書き方、俺だけかもしれないけどな」とニールが言うので正しい書き方なんて知らない。
でも、その爪が好きだ。
ニールは食パンを取り出して木炭紙におく。
そのままこすって、おそらく消しているのだろう。
消しゴム代わりに食パンを使うのは譲れないらしい。なんとなく、もったいない。
白い柔らかいところしか使わないらしくミミはあとでおやつ代わりに食べる。
ああ、その手の動きが好きだ。
ニールが好きだ。
「あきちゃったか?」
「あ、すまない。そうじゃなくて、その、うん」
「ん?」
「あなたのことを考えていた」
「それは、光栄だね」
ニールはパンと木炭を置いて「もういいよ」と言ってくれる。
僕は書かれた絵が見たくてニールのところへいった。
灰色からぼんやりと僕が浮き出ているようで。
微笑んでいる僕がいた。
「....僕、こんなに笑っていました?」
「ああ。ティエリアはいつだってわらってるぞ」
急に少し恥ずかしくなった。
「あ、やべ」
ニールがつぶやいた。
「どうした、ニール」
「ワイシャツ、やっちまった...」
ニールのワイシャツの袖に木炭がついたようで黒くなっていた。
「ああ...ったく....」
「いつものことです。僕のと一緒に洗っておきますから置いておいてください」
「いつものこと?」
「ええ、あなたの服の袖はよく、汚れている」
汚れたニールの服を洗うのが僕のささやかな喜びだ。
「気がつかなかった...」
「気にしないでください。僕がやりたくてやっているんです。僕はあなたにたくさん絵を書いて欲しい」
「...ありがとうな」
お礼を言うのは僕の方なのだ。
犯人がつかまらないとき、市民とのいざこざ。
そうした八つ当たりをすべて受け止めているのはニールなのだから。
絵には生む苦しみがある。そのストレスもあるはずなのに。
「いつも僕を書いてくれるお礼です」
本当のことは言わずに。
手が汚れていると焦る彼の頬をつかんで、僕はニールにキスをした。
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