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ニルティエ
タイトルつけるなら「ごめんな」とかそんなんだろうな・・・
ニール→←ティエ

「ごめんな」
ポンと、ティエリアの胸に届けられた返事はその胸を痛めながら届いた。
その痛みの理由を知らないティエリアはズキリと一瞬痛んだ胸を一瞬さすって気のせいかと首をかしげる。
ニールの答えにそうですかとだけ答えてティエリアは自室に帰った。
貴方のそばに居てみたい
素直に、初めて素直に相手に伝えた”ティエリア自身の感情”だったのかもしれない。
ティエリアにその自覚はなく、ただ、思いついたようにニールにいった言葉だったのだが、その言葉がもつ意味を追求していけばおのずと答えは出る。
察しのいいニールはティエリアが自覚していないことも、それに自分が答えられないこともはっきりしなければとその言葉を拒否したのだ。
だが、ニールの申し訳ない気持ちなど気がつかず、ティエリアはそうですかとだけ伝えて去っていった。
その程度の気持ちだったのだろうか。
ニールは一瞬考え、ああ、アイツはまだ感情を理解していないのだと、理解する前につぶしてしまってすまないと去っていくティエリアの背を見ながら謝った。
おそらく初めて抱いただろうティエリアの恋心は、本人が自覚することも無く、無くなくなってしまった。
願わくば、まだどこか知らない誰かでもいい(むしろその方がいい) ティエリアが恋をすることがあるようにと、ニールは祈るばかりだった。

「ティエリア・アーデ、体調でも悪いのか」
それから数日後、全くもって食欲のなさそうなティエリアがそこにいた。
武力介入が目的であるCBだが、毎日武力介入をしているわけではない。
毎日戦争が起こっているわけでもなく、情報収集をし最前の準備をしてから乗り込むからだ。
ここ何日間かは目立った動きも地球に無く、心落ち着く日々を送っていたが、刹那のそんな声にニールはどきりとした。
「・・・問題ない。必要な栄養素は摂取している」
今日の献立はティエリアでも食べられるものだったはずだ。
食堂をのぞけばティエリアの前に並ぶティエリア分の食事のほとんどが残されたままである。
そしてすっかり置かれたカトラリーを見る限り、食べるつもりが無いということも伝わってきた。
「でも、顔も青いし、最近やけに胸元を気にしているし・・・胃の調子でも悪いんじゃない?」
アレルヤはそういってティエリアの前に胃薬を差し出した。
「確かに異変は感じる・・・。ありがたく頂いておくとします」
いっきに薬と水を飲み干して、ティエリアは一息つくと、床を蹴ってニールがいる通路へ飛び出した。
「お、お、よう、調子でも悪いのか」
動揺したニールの声はどこか震えている。
ティエリアはニールを一目見てすぐ目をそらし「いいえ」とだけいって去っていった。
ニールは再び去っていくティエリアの背をみて唇を噛み締め何度も何度もごめんなと呟くことしかできなかった。
そもそも、何故ティエリアはニールに恋をしたのだろう。
「なんでこんな俺を好きになってくれたんだろうな」
「え?ロックオン、何か言ったかい?」
「んー、思うように行かないなって話だよ」
アレルヤは首をかしげニールも胃がいたいのかい?と胃薬を差し出す。
「胃じゃなくて、胸が痛いんだよ」

***
ロックオンに何故あんなことをいたのか。
ごめんなと言われてからずっとティエリアそればかり考えていた。
でも自然と・・・いや、言わなければならないとその時は思ったのだ。
ティエリアはぐっと痛くなる胸を押さえて部屋にあるベッドに寝転ぶ。
「いたい」
薬を飲んでも痛いじゃないか
ティエリアは胸を押さえていたいいたいと繰り返しながらさっさと寝てしまおうと目を閉じる。
ああ、あの人と一緒にいたかった
もっとはなしたかった
もっと知りたかった
胸が痛い
締め付けられる
苦しい
そうだ
これは痛いではなく
苦しいだ
ゆっくりと目を開ける。
部屋中がゆがんだ世界になっているのを見て初めて、ティエリアは自分が泣いているのだと気がつき、その涙を必死にぬぐった。
「私は、私は・・・・・」
ロックオン・ストラトスという人間を、もっと知ってみたかった。
「この気持ちは、なんというんだ」
ヴェーダで検索をかけても、良く分からない。
あの人は、ロックオンは苦しいだろうか?
それは嫌だな
あの人はたくさんの人に囲まれて、笑っているべきなのだ。
そこに私はいないのだろうけれど、楽しそうにしていない彼を見るのはつらい。
私なんていなくてもいいのだ
あの人がそれでいいのなら
「いいんだ」
楽しそうに笑っているニールを想像して、そこに自らの場所が見つけられなかったティエリアは、苦しい胸を抱えて早く眠れとただただ目をこするばかりだった。

「ティエリア」
なにもない、しんと静まり返った部屋に声が響く。
「何でしょうか」
ドア越しに答えて、ティエリアは体を起こした。
「話があるんだ」
ここあけて、というニールにティエリアは素直にドアを開ける。
出迎えたティエリアの顔がいかにも「泣いた後です」といった顔だったのを見てニールはティエリアの目元に手を添えた。
「な、なんですか!」
「いや、真っ赤な目がさらに真っ赤になってたんで・・・」
「そう、そうですか・・・」
はらいのけるでもなく、どうしたらいいのか分からないティエリアはただだまってその行為が終わるのを待つしかない。
「俺はさ、家族がいない。大切な人が居なくなることの辛さを知っている。だからさ、守るものを作りたくないんだ。守れなかったとき、きっと俺は俺を許せない。だからたくさんのものを我慢してきた」
弟から離れて
恋人も作らず
友人らしい友人も作らず
気がつけば信じられるのは狙い打つ自分の能力だけ
生きる目的はCBの活動目的
「だからさ、そんな可愛いことしないでくれ。守りたくなる、愛しくなる、好意を向けられて嫌な思いしなかったんだよ、それって俺にはまずいことなんだ。認めないといけねーだろ?お前にひかれているんだって、認めたら俺はお前が大切でしょうがなくなる」
「ロックオン・・・怖いのですか?手が震えています・・・どうすれば怖くなくなりますか?安心しますか?」
「ほら、そういうところが・・・どうしちゃったんだよお前さん。素直じゃないか。まったく、愛しいな」
ティエリアの目元から手を引いて、ニールはティエリアの頭を抱え込むように抱きしめた。
「ろ、ロックオン!苦しい」
「悪い悪い。でもこのぐらい強く抱きしめておかないと、安心できないのさ。なあ、お前さんは生きてくれよ」
俺はきっと、目の前に仇が現れたら命のことなんて考えずに突っ込むだろう。
ティエリアとの未来も、今も約束してやれない。
それでも愛しいと思わせたティエリアが好きだ、大切だ。
だから、生きてくれよ、ティエリア。
お前らしく、生き続けてくれ。
守ってみせるから。

どこにだって、導いて見せるから。




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